文学とは一般に、言葉や語彙を様々に組み合わせて表現する芸術ですが、詩はその最も微妙な領域に踏み込むものだと思います。言葉の持つ意味は決して一様ではなく、同じ言語でも、個人の環境により、また歴史・風土により大きく異なります。
また、言葉の持つ属性とは単に「意味」にとどまるものではありません。音としての心地よさ、リズム、さらには文字として表記されたときの視覚的印象も重要な要素です。
私は文学については明るくないので、独断と偏見を辞さずに言いますが、おそらくは文学のなかでも、これらの要素を最もフルに活用する可能性を持つのが、詩であると思います。
文学と聞いて恐らく誰もが思い浮かべるであろう、小説や随筆などは、上に挙げた言葉の持つ属性のなかでは、「意味」以外に重点を置くことはほとんど無いと思われます。
詩の場合、言葉の持つ意味どちらかというと最小限にとどめられ、必要にして十分な言葉が慎重に選ばれます。また、言葉が従来から持つ歴史の重みから脱却して、なるべく意味を抽象化し、新しい価値を創造しようとする傾向もあります。韻を踏んだり、俳句に見られる5・7・5のリズムなど、「音」としての表現がとりわけ重要視されます。
一部の詩では、意味をそっちのけにして、音や視覚に訴えることを主眼としたものもあります。